魅惑のビブラート

トレーナーの竹本です!
本日も音楽ブログをお届けします。


誰もが手に入れたい歌のテクニック、その名も『ビブラート』。
声のバイブレーションで聴く人のお耳を心地よくさせる魅惑の魔法ですが、手に入れたい人ほどなかなか手に入れられない術の一つです。

そんなチート級の魔法『ビブラート』について、一緒に考察していきましょう。
(すっかり魔法になっちゃってるけど・・・苦笑)

イラスト@いらすとや

そもそも『ビブラート』とはどんなものなのでしょうか?

生理学上は『一定の範囲内で起きる、規則性のある音の高さ・強さの声の揺れ(変動)』ということになります。
言い換えると『歌において音(声)を伸ばす時に、音の高さを一定のリズムで上下に揺らす手法。その際、音量も大きくなったり小さくなったりしている。』ということになるでしょうか。

言葉にすると難しいですね・・・笑

このビブラートのメカニズム、わかっているようでわかっていない部分も多いものなのです。
『一定の周期で音が上下している以外、どこの筋肉や神経をどのように使っているのかわかっていない』という書籍も目にしたことがあります。


ネット上でも諸説あり、ある者はそれを肯定しあるものはそれを否定するといった、ボイストレーニングの世界で起こりがちなカオス状態が広がっています。

主流派は・・・
・横隔膜でかける
・喉でかける
・下顎でかける
・・・辺りでしょうか。

頭を振ってかけているシンガーもいましたよ。
かく言う私は、既に無意識の領域でかけています(笑)。使いこなせるようになった人は、意識せず自在にかけられるようになります。

実際、ビブラートに憧れてレッスンに訪れる人は少なくなく、『どうやったらかかるのか?』という質問もよくされます。

その時は必ず『喉に負担のかからない、良い発声を身につけるのが近道ですよ』という言葉をお伝えしています。


もちろん、上のような手法でかかっていけば良いのですが、腹式呼吸もままならない初心者には到底到達できない領域です。

『良い発声を身につけるのが近道』とお伝えする理由があります。
何故なら、腹式呼吸もできるようになって、身体の使い方も覚えられて、喉に余計な力を入れることもなくなり、発声が充実してくると『自然にビブラートがかかり始める』人がとても多いからです。充実すればするほど、“ビブラートがかかる条件が整っていく”ということが言えます。

絶対条件としてあげるなら・・・
・安定した呼気(吐く息)が送り出せること
・力まずに声を出せる(喉をしめない)こと

とても基礎的な良い発声の条件ですね。どちらが欠けてもかからないでしょう。
かかり始めた人たちは最初は自分では気づかず、呼吸の流れが良く力みのない場所で自然にかかっています。指摘するとみんな驚いて、みんな喜びます。

個人的には、この段階からビブラートの練習を始めるのが一番効率が良いと思っています。
身体の動き、喉頭の震えなどを意識しながら、細かく高さを上下させたり、細かく強弱をつけたりする練習などを繰り返し『音の揺れ・波』を感じることは『ビブラート』という“新しい感覚”の出し方(声)を掴むきっかけになります。

そんな私は、小・中学生の頃に好きな歌手の『マネ』をしてかけられるようになった、ズルいタイプです(笑)
ただ、ビブラートが安定したのは本格的にトレーニングを受けてから。ボイストレーニングはとても大切ですね。


かからないからと悲観する必要はありません。
ビブラートを一切かけないシンガーもいます。ビブラートは“必ず手に入れなくてはいけないテクニック”とも言えないのです。

ビブラートをかけないシンガーの方が、フレーズの終わり方が単調にならないように、色々な音の終わらせ方を工夫していることが多いのです。聴いていて多彩で面白味があります。
逆にビブラートがかかる人はそれに頼って、“いつもビブラートで終わる”という、逆に単調な状況も起きがちです。


さて、諸説ある魅惑の魔法『ビブラート』ですが、聴く人のお耳を心地よくさせるには、やはり使い方の工夫が必要のようですね。
僕は『どんな人でも簡単にビブラートがかけられるようになる魔法』を手に入れられるように、魔法の国へ修行に行きたいと思います(笑)

それでは次のブログでお会いしましょう!