歌に感情はいらないのか
トレーナーの竹本です!
本日も音楽ブログをお届けします。
シンガーにとって切っても切れない関係である『感情』や『感情表現』。
思うようには伝わらず、伝えすぎても届かず。。
まるでどこかのラブストーリーの主人公のようなお話しですね。笑
現代の歌の中で、『感情』というものにどう向き合っていけばいいのでしょうか。
『歌は語れ セリフは歌え』、そんな風に言われた昭和の時代もありますが、歌に入り込んで涙を流しながら歌うような場面を見ることも、少なくなりましたね。
『より機械的に、楽曲を構築する音の1つとして歌う』、むしろ、現代ではそれが求められることも多いように思います。
“歌に感情はいらない”という論調は、今に始まったことではなく、よく言われることでもあります。
昔から著名な作詞家、作曲家たちからもそういった話は聞かれますし、演劇の世界でも「感情の着ぐるみをかぶるな」という考えを示す人たちもいます。
楽曲(作品)を作る立場から言わせれば、歌詞(言葉)やメロディ、奏でられる音に“全て”が詰まっているもので、余計な装飾はせず、それを忠実に再現して伝えて欲しいという気持ちもあるように思います。
確かに、悦に浸って周りの見えていないシンガーの歌は、正しく音を取ることや発声も疎かになり、聴く人の気持ちが冷めてしまいます。感情表現もやり過ぎると、押し付けがましく聴こえて、逆に歌から聴く人の心を遠ざけてしまうことがあります。
聴く人に『聞いて!聞いて!』とグイグイと気持ちを押してつけていくだけでは、聴く人は疲れてしまいますよね。
聴く人が“入り込む隙”や“想像する余白”を残さなくては、聴く人の中に感動は生まれないように思います。
エモーショナルな状態でも冷静さを保ち続ける。
そういったバランスを取ることがとても大切だと思います。
とはいえ、全く気持ちの入っていない歌というのは、どうなのでしょうか。。
「〇〇〇〇ってサウンドもアレンジもカッコよくて大好き!」
「え?歌?あんまり聴いてなかった。誰が歌ってるんだっけ?名前?知らない。」
そんなことが起きてもおかしくない。むしろ、すでに起きているかもしれませんね。
シンガーとしてはどこに個性を持っていくか、それすら試されている時代です。
人間がいて言葉がある限り、そこには当然のように『感情』が生まれます。それを“いらない”といわれるとシンガーたちはとてもストレスになりますよね。
でも、“いらない”というわりには「全部ボカロでいいじゃん」とならないのは、人が発する声の抑揚や、そこに自然に乗っかってくる『感情』のようなものを感じ取り、それが心地よいと思うからではないでしょうか。
例え「感情なんていらない!」となっても、その歌の世界にいる人物たちの『気持ち』を知らなくていいということではありません。
知っているかいないかでは、発する声が大きく違ってくるでしょう。感情いるいらないを別にしても、気持ちだけではなく、見ているだろう風景、吹く風や香りなど、歌の世界を理解しておくことはとても大切なことです。
私たち歌い手は、“優れたストーリーテラー(物語の語り手)”であるべきです。
どうやってその物語を伝えていくか。
作家の思い描く世界を忠実に再現するためにはどうすべきか、語り方をゆだねられた時にはどうすべきか、歌の世界を歌詞だけでなく音楽的にも理解しておかないとできないことなのです。
“自分に”ではなく“相手にどう伝わるか”を考えてみませんか?
さてさて、とてもとても難しい『感情』問題ですが、
皆さんと同じ歌い手の一人としては、感情は「いらないわけがない!」ということになります。笑
ただ、無駄をできるだけ削ぎ落とした方が良い歌になるのも事実です。
人智を尽くしたシンガーたちの最後の支えになるは、“心で歌うこと”だっりするのも、歌と感情が切り離せない証だからではないでしょうか。
聴く人の心にずっと残り続ける歌を、たくさん歌っていきたいですね!
それでは次のブログでお会いしましょう!