歌声と話し声 〜日本人の声〜
こんにちは!
トレーナーの竹本です。
前回から少し間が空いてしまいましたが、皆さんお元気でしょうか?
とかく日本語は「歌に向いていない」といわれますが、それは何故なのでしょうか。
日本語の特徴をいくつか挙げていきましょう。
①胸式呼吸を使って話される傾向がある(息が浅い)
まず、ここのブログでも腹式呼吸の大切さは何度も(毎回のように。笑)お話ししてきましたが、その大切な呼吸が普段の話し声ではできていないという驚愕の事実です。日本語は英語の「f」「v」「th」のように肺からの空気圧を必要をする音が全くといっていいほど存在しないため、腹式呼吸で強く息を送り込む必要がありません。そのため、日本語は英語などの外国語と比べ、喉の筋肉を使って声をコントロールしていて、腹式呼吸での声を出している人が少ないといわれています。少し多めに息を送らなくてはいけない「ハ行」の「h」の音が苦手な人が多いのは、息を強く送る習慣がないからかもしれませんね。
②言葉の音同士が繋がりにくい(連結されにくい)
日本語は、一部「母音の無声化」という現象が起こり母音の音が消えることはあるものの、ほとんどの場合、言葉の音一つ一つが「子音」と「母音」で構成されています(「ん」除く)。そのため、日本語をはっきり聞き取りやすく発音するためには、言葉一つ一つを区切るように発音する必要があります。この手法の分かりやすい例は『劇団四季』で行われているメソッドです。
これに対し、英語などは単語の最後の子音が次の単語の頭の音に繋がっていく、いわゆる『リンキング(Linking)』という状態が起きるため、言葉は流れるように発音されていきます。この違いの結果、何が起こるかわかるでしょうか?
言葉一つ一つを区切るように発音する日本語は息が途切れやすく、リンキング(や、リエゾン)が起こる言語では息の流れが途切れにくい。このように「息」の流れ方に違いがでてきます。息の流れが途切れにくい言語の方が、呼吸も安定し、その結果歌声も安定しやすくなります。
③多言語に比べて声の大きさが小さい?
日本語は響きが浅いともいわれます。確かに電車で見かける外国人観光客の声はハリがありよく通る声をしています。
『声が小さい=共鳴体を上手く鳴らせていない』というサインでもありますから、これは歌にとっては良いことではありません。
東洋人である日本人の骨格や声帯の大きさ、言語による共鳴体(共鳴腔)の使い方、先に述べたように空気圧(呼気圧)の弱い胸式呼吸で話しているということも、声の大きさにかなり影響しているでしょう。
それに加え、日本人の『恥ずかしがり屋』という民族性や気質にも影響されているのではないかという話もあります。物怖じせず自己主張できる日本人が増えてくると、日本人の声はドンドン大きくなっていくかもしれません。
「腹式呼吸である」「息が安定して出せる」「日常会話でもしっかりと声を出す習慣がある」という英語などの外国語は、日常生活の中で歌に近い声の出し方をしているケースが多いと考えられます。それに対して日本語はそれの「真逆」。確かに歌に向いている言語とは言い難いですね。
では、我々日本人が歌声を良くしていくにはどうすれば良いのでしょうか?
それはここまで話してきた「外国語の良いところを上手く取り入れていく」ことです。
特にトレーニングを始めたばかりの日本人の場合、歌声と話し声は同じではいけません。日常会話で使う声とは、違う声を作っていく必要があります。
いつもより大きく、いつもより深い呼吸で、いつもより口を開いて、いつもより唇や舌や色々な部分を動かして、いつもより大げさに、いつもより積極的に、いつもより大胆に。いつもとは違う自分になっていきましょう。
それが当たり前になってくれば、歌声のような話し声にもなり、あなた自身のイメージもきっと変わっていくでしょう。
声がよく通るようになって、きっとコソコソ話はできなくなってしまうかもしれませんが。笑
目指すのは「歌声のような話し声」なのです!!